高校入試の倍率って?意味を正しく知ろう
「倍率って、合格率と違うの??」
「去年の倍率見たら、高い…。どうしよう…。志望校変えた方がいいのかな…」
「倍率って、調べるといろいろあって、なんだかよくわからない…」
こんなお悩みはありませんか?
最終的に志望校を決めたりするときに、入試の倍率に関して気になる人が多いのではないでしょうか?倍率と言っても、様々な種類があって気難しく捉える人もいると思います。
そこで!今回は高校入試における『倍率』について、詳しく解説します。
志望校決めは、人生における大切な選択肢といっても過言ではありません。倍率だけに惑わされないように、意味を正しく知りましょう!
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高校入試の倍率って何?
倍率と一口にいってもさまざまな種類があります。
より具体的に知っていくためには以下の内容を知っておく必要があるでしょう。
そもそも倍率とは
お子さんがその学校に合格できる確率ではなく、そもそも倍率とは、「定員の何倍の受験生が入試を受けるのか」という指標です。
たとえば、簡単な例をお伝えすると、定員200名のA高校に400名の受験生が受験しているのであれば2倍と表示され、逆に100名しか受けていない場合には0.5倍と表示されます。
仮に2倍と表示される場合には2名に1名が合格し、0.5倍と表示されている場合には定員割れを起こしているので、ほぼ全員が受かるという形になります。
ただ先ほどもお伝えしたように、倍率と一口にいっても様々あるので、どの時点での倍率かによって受験難易度は異なってくるため十分に注意しましょう。
倍率はどこで知ることができる?
各都道府県の志願状況は、自治体の教育委員会のホームページで発表されます。一覧で見ることができ、過去の情報も掲載されているので、比較検討におすすめです。
【一都三県の教育委員会のホームページ】
東京都:都立高等学校入学者選抜応募状況(第一次募集・分割前期募集等)(過去5年分)
引用元:東京都教育員会
神奈川県:神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等の志願者数について
引用元:神奈川県教育委員会
千葉県:「入学志願者確定数について(詳細資料)」及び「高等学校別志願者確定数一覧」について
引用元:千葉県教育委員会
埼玉県:埼玉県公立高等学校入学者選抜情報
引用元:埼玉県教育委員会
※自治体のホームページには、さまざまな情報が掲載されているので必要な情報をしっかり確認できるようにしましょう。
志願倍率(応募倍率)とは?
受験生がまず確認するのは志願倍率(応募倍率)です。
志願倍率(応募倍率)とは、募集定員に対して、どれぐらいの受験生が志願(応募)しているかを表すものです。「志願(応募)者数÷募集定員」で算出されます。
たとえば、募集定員100名の公立B高校、私立C高校ともに1,000名の応募者数が出願している場合には志願倍率(応募倍率)は10倍と表されるでしょう。
公立高校入試では都道府県によっては、最初の志願倍率(応募倍率)が発表されてから、1度だけ志願先を変更ができる場合があります。
この志願倍率(応募倍率)を見て、「合格の可能性を高めたい」と倍率の低い同等レベルの高校に志願変更しようとします。しかし、同じように情報を知った受験生が志願先を変更し、その結果、変更した高校の倍率が高くなってしまう逆転現象が起きることがあります。
このように、志願倍率(応募倍率)はあくまで志願者(応募者)の数で算出したものであり、出願を取りやめる受験生や、出願先を変更する受験生が出てくると倍率が変動します。
難易度を表す数値は、最終的な出願の締め切り後に公表される「最終応募倍率」ですので、倍率が高い低いということに惑わされずに、冷静に判断して志望校を選択しましょう。
最終応募倍率とは
公立高校では出願後志願倍率(応募倍率)発表後、「志願先変更」が可能な都道府県があります。そのため、応募者数が変動することから倍率が変わります。
受験倍率とは?
受験倍率とは、試験終了後に算出される倍率になります。募集定員に対して、受験した人数を表すものです。「受験者数÷募集定員」で算出されます。
先の募集定員100名の公立B高校、私立C高校を受験した人数はそれぞれ800名でしたので、受験倍率は8倍になります。
志願倍率(応募倍率)よりも倍率が下がりました。病気で受験できなかった人や他の学校に合格し受験しない人が出てくるため、当初の人数(志願者数)よりも人数が減るので倍率が下がります。
実質倍率とは?
入試が終わった後に算出される倍率のことで、受験者数のうち、合格者人数の割合を表したものです。「受験者数÷合格者数」で算出されます。
どちらかというと私立受験に関わる数値です。
公立高校では、応募人数を大きく上回る合格者数を出すことはほとんどないからです。
たとえば、先の公立B高校の合格者は募集定員と変わらず100名でした。
一方、私立C高校の合格者は募集定員より220名多い320人となりました。
つまり、公立B高校の場合は実質倍率(実倍率)8倍。
私立C高校の場合は、実質倍率(実倍率)2.5倍になります。
なぜ、公立と私立でこんなに実質倍率に差が出てしまうのかというと…
私立高校を受験する受験生は学校を掛け持ち受験することが多いので、合格しても辞退するケースがあります。こういった理由から、私立高校では入学を辞退する受験生を見越して多めに合格者を出すため、倍率が変わってくるんです。
倍率には
- 出願締め切り後に発表される:志願(応募)倍率
- 試験終了後に発表される:受験倍率
- 合格発表後に発表される:実倍率(実質倍率)
の3つの種類があります。まとめてみると
このように志願倍率(応募倍率)が高いから、低いからと一喜一憂するのではなく、倍率に左右されない学力を日々の学習で身につけて、自信をつけていくことの方が大事なのです。
高校入試で定員割れを起こしているってどういうこと?
先ほども少し触れましたが、倍率が1倍を割っている場合には定員割れを起こしている可能性があります。
高校入試で定員割れを起こしている場合には、学校側の方針が特別に定められていない限りは全入(受験した受験生は誰でも受かる)できるでしょう。
とはいえ、残念ながら昨今の高校の方針では、定員割れを起こしている=誰でも入れるといった状況ではなくなってきています。
より具体的に以下の項目で、その点について解説していきますね。
高校入試で定員割れを起こしても全入できない…
高校入試で定員割れを起こしていても全入できないといった点には注意しなければなりません。
受験生の保護者の方世代には、定員割れ=全入といった常識があるかもしれませんが、昨今の高校入試では必ずしも全入できるとは限らないのです。
より具体的にその事例を解説するために、以下の内容を確認していきましょう。
実際にあった入学できなかった事例
公立高校受験において、工業高校や普通科高校ではどこでも面接があります。
仮に定員割れが起こっていた場合にも面接は執り行われますが、ある受験生は「どうせ受かるだろうし適当に面接を受けよう」と考えていたようです。
もう話の展開はお分かりになるかと思いますが、この生徒には案の定不合格通知が届きました。
どの都道府県でも受験の際に起こっている事例です。
では、なぜこのようなことが起きてしまうのかを確認していきましょう。
高校ごとに応募要項が決まっている
定員割れを起こしているからといって確実に合格できるわけではありません。その理由は、高校ごとに応募要項が決まっているからです。
たとえば、神奈川県の公立高等学校の入学者選抜について、次のような記載がありました。
-
神奈川県公立高等学校入学者選考方法について ー選考基準―
-
公立高校入学者選抜制度の概要 (クリエイティブスクール,県立横浜国際高校及びフロンティアスクールを除く)
面接評価の観点
(各校共通)- 入学希望の理由
- 中学校での教科等に対する学習意欲
- 中学3年間での教科等以外の活動にたいする意欲
面接評価の観点
(学校ごとの観点)- 高校での教科・科目等に対する学習意欲
- 高校での教科・科目等以外の活動に対する学習意欲
- 学校・学校等の特色理解
- 将来の展望
- 面接の態度
- その他の観点の内容(受験者の長所・特性/本校の特色を生かし、個性や才能を伸ばそうとする意欲)
このように入学希望の理由、学校の特色理解や学習意欲、教科以外の意欲などが選抜対象に入れられており、定員割れを起こしているからといって安易に適当な態度で面接に臨むと、どれだけ受験内容が良くても落とされることがある点には注意しましょう。
そもそも高校は義務教育ではないことを思い出そう!
ここまでの流れで保護者の方はもしかすると「高校に入学できないことなんてあるの!?」と思われるかもしれませんが、高校は義務教育ではないので入学させる生徒と入学させない生徒を選ぶことができます。
そのため、極論にはなってしまいますが、高校側がどれだけ定員割れを起こしていたとしても、「この受験生はウチのカラーにあわないな」と判断すれば不合格を言い渡すこともできてしまいます。
ですから、倍率に対して一喜一憂するよりも、受験生としての学力向上や態度をどうするかを意識するほうがずっと合格確率は上昇します
高校入試によくある現象について
ここまで高校入試でよくある定員割れを起こしていても、全入できない事例について詳しく解説してきました。その他にも倍率に関するよくある現象があるので、確認していきましょう。
倍率が低かった高校では揺り戻し(隔年現象)が起こる可能性がある
倍率が低かった高校では揺り戻し(隔年現象)が起こる可能性に要注意です。
隔年現象とは、1年目の倍率が低かった場合に、2年目の倍率が高くなり、3年目の倍率が低くなるといった、シーソーゲームのような現象です。どの高校でも起こりうる現象であり、基本的に倍率は3年間分を見て判断したほうがいいといわれています
重要なのは今までの内申点がどれだけ積み上げられているかと、学力試験や面接で実力を発揮できるかになるので、そちらに比重を置いて対策をしていきましょう。
この点について以下の項目では詳しく解説していきます。
高校入試の倍率よりも大事なこと
高校入試の倍率にとらわれるのではなく、学力や内申点を高めることが大事です。
ここからは、受験に対してどのような考え方で臨むべきなのかを詳しく解説していきます。
具体的な内容は次のとおりです。
受験に対する考え方
- 倍率よりも入試直前の偏差値を基準にしよう
- 2:6:2の法則を覚えること
- 過去の倍率を考えても結局は時勢によって倍率は異なること
それぞれ解説していきます。
倍率よりも入試直前の偏差値を基準にしよう
偏差値とは、50を基準として平均からどれくらいの差があるかを表した数値です。そのため自分の得点が平均点と同じであれば、偏差値は必ず50となります。
つまり、偏差値50の高校受験者は、定期テストなどで平均点の生徒が多いことから、平均点以上の点が取れるように基礎問題はもちろん、標準問題での正答率を上げていく意識を持ちましょう。
倍率を見て出願先を検討することもよいですが、今までの学習の積み重ねと第一志望校合格へのモチベーションを受験の自信に変えてきたことを忘れないでください。特に面接では志願理由も変わりますので、しっかりとした準備も必要になります。
多くの公立高校や私立高校では学力試験の点数によって合格・不合格が決まりますので、まずは学力試験の対策をしていくべきです。
2:6:2の法則を覚えること
受験などの競争性があるものはほとんど全て2:6:2の法則があることはご存知でしょうか。
受験でいうと、必ず受験に落ちる受験生・どちらかわからない受験生・必ず受験に受かる受験生に分かれます。
多くの受験生は受かるかどうかわからない受験生に分類されていて、競争をしなければなりません。
そのときに運命を分けるのは、「今得点できなければならない問題を解けているか」と「ケアレスミスをしていないか」です。
どちらかわからない受験生は、実力的にも同じである場合が多く、たった1つのミスが命取りになるため、過去問演習をきちんと行って対策をしておきましょう。
過去の倍率を考えても結局は時勢によって倍率は異なること
最後に、倍率はあくまで倍率である点を覚えておいてください。
過去の倍率を考え、隔年現象も加味して出願したところで、いきなり志望校の人気が上がり出願者が殺到するかもしれません。
人の動きを予測できればいいのですが、そのような受験生はほぼいません。
ですから、何度も繰り返しお伝えしているように倍率を気にするよりも、学力試験に向けて勉強することをおすすめします。
まとめ:高校入試の倍率を気にしすぎるのはNG!
今回の記事では高校入試の倍率について詳しく解説してきましたが、気にしなさすぎるのもNGで、気にしすぎるのもNGです。
倍率はあくまで倍率で、基本的には志願先を変える必要はありません。
ただ、いきなり倍率が10倍になったなど、大学受験よりも厳しい競争が必要になる場合には必ず担任の先生や保護者の方と相談し、志願先変更をするかどうかを決めていきましょう(このようなことはほとんどありませんが…)。
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