支援のコツ

【発達障害の学習困難】勉強嫌いを克服する方法10選と相談機関

この記事の著者

房前 みなみ / 発達障害コミュニケーション指導者

「うちの子勉強はイヤ!が口ぐせで…」
「毎日宿題に苦しんでて…」
「テストのたびに落ち込んでいる…」

このようなことでお悩みではありませんか?

発達障害の子は勉強に困難を感じているので、勉強を毛嫌いしている子も多くいます。

とは言え、テストの点数に落ち込み宿題に苦しんでいる姿を見ると「もっと楽しく学んで欲しいな」って思いますよね。

そこで今日は、発達障害の子が勉強に苦手意識を感じることなく学ぶ方法10選を解説していきます。親御さんのサポートを手助けしてくれる相談機関も紹介しますので、親御さんも支援を楽しく続ける方法を見つけていきましょう。

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もくじ

発達障害の種類と特徴

発達障害とは、神経発達の特異性が見られる一群の障害の概略です。主に幼児期や子供期に発現し、社会的なコミュニケーションや行動の制御、注意力や学習能力などに問題が起こります。

主な発達障害の種類には、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害、学習障害(ディスレクシアやディスカルキュリア)などがあります。

発達障害は個人によって症状や程度が異なるため、同じ診断名でもその特徴は多様です。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

ADHDは、子どもにも大人にも見られる神経発達障害の一つで、注意力や活動性の制御に問題がある状態です。

(1)注意力の欠如

ADHD の子どもは、注意を集中させることが難しい傾向があります。飽きやすく、注意力や集中力を維持することが難しいです。 授業や作業中に他のことに気を取られやすい場合があります。

(2)多動性

ADHDの子どもは、落ち着きがなくエネルギッシュな傾向があります。 彼らは静かに座ることが苦手なので、授業中でも手や足を動かす、イタズラをしてしまう場合などがあります。
このような特徴は、ADHDの子どもがエネルギッシュで前向きな性格であることを表しています。

(3)衝動性

ADHDの子どもは、衝動的な行動を取りやすい傾向があります。思考や行動が先走り、我慢することが難しいです。他人の言葉を遮ったり、物事をじっくり考えずに行動したりすることあります。

これらの特徴は、子どもによって程度が違うので、あくまでも参考程度と考えてください。また、ADHDの症状は子供の成長とともに変化することもあります。

自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害の子供は、社会的な相互作用やコミュニケーションに困難を感じることが特徴です。

(1)社会的な関係が構築できない

ASD の子どもは、他人との社会的な問題や関係づくりに困難を伴うことがあります。目を合わせることで相手の表情の読み取り、他者の感情の理解することに困難があります。また、適切な身体的な接触やジェスチャーの使用にも難しさを感じることがあります。

(2)コミュニケーションの困難

ASD の子はコミュニケーションにおいても困難を伴います。言葉が見つからない、表現を間違うなどから会話がうまく通じず、相手の意図を理解することが難しいです。また、自分が興味あることだけの話題に偏ってしまうので友だちが出来づらい傾向にあります。

(3)興味あることには強い関心を示すがルーチン作業が苦手

ASDの子どもは、特定の行動や興味に強い関心を持つ傾向があります。特定のトピックや対象へ深い関心を持つかわりに、繰り返し行う動作やルーチン作業が苦手です。また、感覚過敏や感覚損があり、特定の刺激に対して異常な反応を示すこともあります。

ASDのスペクトラムの子どもの特徴は人それぞれで、個々の特徴の組み合わせも異なります。

学習障害(ディスレクシアやディスカルキュリア)

学習障害は、特定の学習領域に困難がある障害です。ディスレクシアは読み書きの困難を、ディスカルキュリアは計算や数学の困難を特徴としています。

(1)特定の学習に困難がある

学習障害の子どもは、特定の学習領域で困難を抱えています。

  • ディスレクシアの場合…読み書きにおいて文字の認識や文字列のつなぎ方に困難を感じる
  • ディスカルキュリアの場合…計算や数学の概念を理解することが苦手

(2)困難なことは習得するのが難しい

学習障害を持つ子どもは、難しいことを練習しても簡単には習得できません。でも努力をしていない訳ではないので焦らないことが必要です。また子どもが努力するのではなく周囲からのサポートや工夫が必要となります。

(3)突出した能力を持つことがある

学習障害の子どもは、学習の特定の領域で困難があることがある一方、他の領域において突出した能力を持つことがあります。例として、空間認識能力や創造的能力に優れていることが多いです。ディスカルキュリアの子どもは、論理的思考や問題解決能力に優れている場合があります。

学習障害は、優れた能力を伸ばす支援によって大成功できる可能性を秘めています。

勉強嫌いを克服する方法10選!

発達障害を持つ子どもは、勉強が苦手で勉強嫌いになりがちです。集中力が続かないことで学校で怒られたり、テストで思うような点数が取れないことで劣等感を感じたりするからです。

発達障害の子はけっして勉強ができない訳ではありません。ただ人と理解の筋道が違うので集団授業では理解しきれないことが多く、テストでは人と比べられてしまうので、その結果「もう勉強なんかやりたくない!」という心境になってしまうのです。

でも将来のことを考えれば最低限の知識は必要ですし、学歴も社会で活躍するのには必要ですから、親御さんはなんとか「勉強して欲しい」と思いますよね。

この項目では発達障害の子が勉強嫌いにならないよう、勉強のやり方を工夫する方法を紹介していきます。

机以外で勉強してみる

発達障害の子どもにとって、机に座って勉強することは集中力を発揮するのが難しい場合があります。ですが勉強は机に座らないとできないものではありません。いくつかのアイデアを紹介します。

(1)歩きながら勉強する

テストで高得点を取るには暗記の勉強が必須です。英単語や歴史の年号、理科の公式など、単語帳のようなものを用意して毎日コツコツ覚えていきましょう。

(2)立って勉強する

座っているのが苦痛な子には、立って勉強するのもよい方法です。例えば夕食の支度を手伝ってもらいながら、親御さんと一緒に国語の長文を声に出して読んだり、主人公の心境を話し合ったりできます。

(3)お風呂の中で勉強する

お風呂タイムを読書時間にする人がいるように、自分でまとめたノートを濡れない様に持ち込み、復習の時間にします。勉強が終わったあとにやると、自分の苦手をさらに繰り返し復習できるので、苦手克服ができます。

ながら勉強してみる

発達障害の子どもにとって、一つのことに集中するのは難しい場合があります。そこで、複数の活動を同時に行いながら勉強する方法があります。以下にいくつかの具体的な方法をご紹介します。

(4)音楽を聴きながら勉強する

以外に思われるかもしれませんが、音楽を聴と気持ちがリラックスするので、集中力を高めることができます。
発達障害の子どもに合った好きな音楽を選んで、歌いながら勉強すると「勉強するのがイヤ」という気持ちにとらわれずにすみます。また英語の歌を覚えて単語を覚えていくと英語を好きになってくれます。

(5)ジョギングや運動しながら勉強する

運動すると脳が活性化し、集中力を高める効果があります。ジョギングや散歩しながら、音声教材やオーディオブックを聴くことで学習を深堀して進めることができます。英語などは正確な発音を耳にできますし、読書感想文を書かなければいけない本や教養を高める本をオーディオで聴きながら運動することもできます。このような学習はお子さんの知性を高める効果も期待できます。

(6)絵を描きながら勉強する

発達障害の子どもにとって、視覚的な情報を取り入れながら勉強すると理解が早く進みます。
勉強の内容をイラストやマインドマップに描きながら勉強してみると、理解できていないことは書けないので自分の弱点を発見するのにも役立ちます。
理科の勉強では概念を絵にして描き、関連性や仕組みを視覚的に理解することが可能になります。

自宅以外で勉強してみる

発達障害の子が勉強をするとき自宅以外の場所で勉強すると、子どもの興味や集中力を高めることができます。

(7)自然の中でリラックスしながら学ぶ

公園や庭など、自然の中で勉強して「終わったらお昼ご飯を食べよう」「ボールで遊ぼう」などと約束しておくと、集中力が高まります。また自然の中で生物の観察や植物の勉強をすると、学びに興味を持ってくれます。

(8)カフェや図書館で勉強する

自宅以外の静かな環境や落ち着いた雰囲気の中で勉強すると、気持ちを勉強に切り替えることができます。勉強に飽きたらゲームやスマホでダラダラしてしまう習慣を断ち切ることもできます。

(9)習い事をしてみる

発達障害の子どもが他の子どもたちと一緒に学ぶと、周囲から刺激を受けながら何かに取り組み、最後までやり通す習慣を作れます。またくじけそうになったら励ましあう、疑問を友だちに質問するなど社会性も養うができます。

(10)家族や友人と一緒に勉強する

一週間に一度、家族や友人と一緒に勉強する時間を設けます。少し遊び半分になってしまったとしても「今月中に〇〇ができるようにしよう」など目標を達成する習慣が身に付きます。

このような方法を取り入れると、発達障害の子どもは勉強に取り組みながら刺激を受けることができるので、勉強に飽きてイヤになってしまうことがなくなります。

発達障害の子の支援を相談機関と連携するメリット

相談機関との連携は、発達障害を持つ子どもやその家族にとって非常に重要です。親御さんだけでサポートすると精神的に追い詰められてしまう、子どもから目を離せない等の状態に陥ってしまい、お子さんもご家族の方にも負担になってしまいます。

相談機関と連携を取ることは以下のようなメリットがあります。

(1)統合的なケアができる

発達障害の子どもや家族は、学校生活や日常生活など様々な面でサポートが必要です。相談機関との連携により、医療機関、学校、地域の支援機関などとの情報共有ができ、協力体制を築くことができます。
これによって総合的なケアが実現されるので、子どもの発達や学習、社会参加のサポートがより効果的になります。

(2)専門チームによる支援計画を立ててもらえる

相談機関は、専門家や専門職など複数のチームが集まって構成されています。例えば、臨床心理士、教育カウンセラー、社会福祉士など、専門的な知識と発達障害の子どもと長年かかわった経験から、子どもや家族のニーズに応じた個別の支援計画を作成することができます。

(3)ご家族の心をサポートし情報共有してくれる

発達障害のお子さんを抱える家族の方は、お子さんを支援し続ける困難や疲労感から多大なストレスを感じることがあります。相談機関は、そんな家族の方の心を支え、感情の整理やストレス管理の方法を教えてくれます。
また、他の発達障害の子どもやご家族のケースを紹介してくれるので「みんな大変なんだな」と心をラクに保つことができます。

このように地域のサポートセンター等の人たちとお子さんが小さな頃からかかわりを持っておけば、生涯に渡って適切なサポートが受けられるようになります。
親御さんだけで悩まず、以下に紹介する機関へ気軽に連絡してみましょう。

発達障害の子の支援を相談できる機関

発達障害の子の支援にはチームによる連携が不可欠です。お住まいの地域にはお子さんやその家族のサポートを目的とした様々な機関や組織が存在するので問い合わせてみてください。以下にいくつかの連携できる機関を紹介します。

(1)地域の支援グループや親の会

発達障害に関する情報交換や支援活動を行っている地域のグループや親の会に参加することで、同じような経験を持つ他の家族とのつながりを得ることができます。同じことを経験している人たちの話を聞くだけでも心の負担が軽くなります。

(2)教育関係者

学校の教師やスクールカウンセラーと小まめに連絡を取り合えば、お子さんの様子を聞かせてもらうことができます。
学校の支援プログラムや特別支援教育に関する相談や情報を得ることもできるので、お子さんにはどんな方法が一番合うか一緒に考えてもらえます。

(3)地域の福祉施設や支援団体

発達障害者やその家族の生活や不安、福祉をサポートする重要な存在です。
地域の福祉施設や支援団体は、発達障害に関する情報を提供し、子どもや家族が必要とするサービスや支援制度についての相談に応じます。 具体的なプログラムやサービス、経済的な支援などに関する情報を提供し、子どもや家族が適切なサポートを受けられるようにサポートします。

(4)心理士やカウンセラー

心理士やカウンセラーは発達障害に特化した支援やカウンセリングができます。お子さんのことだけでなく、ご家族にも心のサポートが必要な場合があります。必要であればどんなことでも相談して心の負担を軽くしましょう。

(5)医師や精神科医

医師の診断や診断書が必要な場合もあるので、気軽に相談できる病院を探しておくと便利です。ただし発達障害の診断には科学的根拠が皆無なため、医師の言うことを鵜呑みにするのは厳禁です。参考程度にとどめておきましょう。

お子さんのサポートは一生続き、これで終わりということがありません。あまり根詰めて考えず、信頼できる協力者を一人でも多く見つけていきましょう。

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この記事の著者

房前 みなみ / 発達障害コミュニケーション指導者

体を動かすのが大好き、誰とでも仲良くなれるタイプです。学生時代は陸上部に所属し、負けるのが大嫌い。とにかく強くなりたくて部活が終わった後も自主練!「勉強よりも部活!!」というタイプでした。なので、勉強にはかなり苦労しました…。でも、母が頼んでくれた家庭教師の先生のおかげで、成績を上げることができました。今度は私も同じように勉強で困っているお子さんのために「家庭教師のあすなろ」のスタッフとして、少しでも勉強を好きになってもらえるようなサポートを心がけています。

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